2012年4月24日掲載
第8回
さて、帰国した私は今まで通り民主化運動に参加します。
例えばビルマ僧弾圧抗議、スー・チーさん自宅軟禁解除、政治囚解放などを訴えてビルマ大使館前での抗議集会です。
すると決まって二人の私服の男性が監視しているのです。気味の悪い状態が数年続きました。
不条理な行為を行なっている軍事政権に、民主国家の日本で日本人が正当な活動をしていて監視される矛盾を痛感しました、
当時の日本政府はどちらかというと非民主化の方針だったと想像しています。
ビルマ大使だった人の著書もそうですし、なによりもODA(政府開発援助)の抑制などを主張するスー・チーさんや欧米などとは違う行動をとっていました。
日本企業は投資を含めた経済活動優先の考えだったからでしょう。
何しろ政府は経済界には弱い立場にありましたから。それに中国、韓国、北朝鮮、台湾などとは違う具体的な利害が、その距離的条件で少なかったせいもありましょう。ですが人権問題には国境はありません。
政治行動よりも経済行動は迅速に動きます。それは結果として利益になれば何でもよいという結果主義だからです。よく言われるお金に主義主張は書いてないよ、ということです。
主義、主張にとらわれていたら商売にならない、経済活動ができないという原理です。いまビルマの補欠選挙にスー・チーさんやNLDが参加したことだけで、ビルマの3000億円にのぼる円借款をなしにするという政府の軽はずみな決定につながるのです。
もっとじっくりビルマ政府の行動を見てからでも遅くはありません。
2012年4月22日 記