2012年4月19日掲載
第7回
ヤンゴン空港での出国の時の手荷物検査の場面。
写真を撮られスー・チーさんの演説ビデオの依頼先と届ける先を警察官に尋問され、飛行機の出発時間が迫ってきていました。
このまま外国人といえども徹底的に取り調べられるかもしれない、と悪い方へと考えが進みます。そうすれば犯罪人として、日本はもとより家庭にも帰れなくなります。ビデオの依頼人と届け先を言う訳にはいきません。知らない、ただ街で渡されただけと言い張って何回答えたかわかりません。
―小さなバッヂ―
そのように悲観的に考える根拠があります。日本にいた時に、ビルマ人の集合に出たお礼に赤いプラスチックのどうみても安っぽいバッヂをプレゼントされました。NLDを象徴する孔雀が闘っているものです。そして、これをビルマで持っていることがわかると投獄されると言って手渡されたことがあります。
それほど軍事政権が民主化運動に神経をとがらせている証拠ということを知っていました。そこでビデオ所持が日本の感覚からは想像もつかない政権批判となっていることもわかったのです。
一人であった警官は二人に増えて一人は尋問、一人はどこかへビルマ語で連絡を取っています。
しかし何度聞かれても依頼人や届け先の名前は言えずに、預かったの一点張りで繰り返します。
もう飛行機の出発時間というときに電話をかけていた警官が取り調べの警官と何か話し始めました。そして手の平で出ていけという振りをつけて、OKと冷たく言いました。
そしてビデオの紙袋は取り上げられ、バッグ一つを渡されて小走りで事務所を出て手続場所まで急いだのです。
生まれて初めての外国での取り調べでしたから、離陸すると一辺に疲れが出て体中が重い圧力を受けたように動かすのに難儀でした。さて、帰国してからも私の身辺に変化が起きるのですが…。【つづく】
2012年4月16日 記