2023年6月13日掲載

剣道と44年の付き合い

【11】打突を確実にするための工夫

肩、肘、手首、掌、小指の連動した使い方

 面を打突する時の両腕の作用は、右手は押し手、左手は引手と言われる。現象的にはその通りである。第10回で書いた肩を使った大きな弧は面、次に大きな弧の肘は胴、最後の小さな弧の手首は小手というふうに使い分けられる。

 だが、さらに小さな掌の使い方もある。掌の使い方は肩から手首までの、すべての打突に生かされる。すなわち小指側は締めて引く、親指側は締めて押す。掌の中心部分を軸にして前方へ回転させる。

 この掌の中心にした円運動の動きが打突を力強く、早いものにする。一瞬の作用であるから慣れるまでは違和感の消えるまで繰り返す。次に小指の使い方を詳しく見てみる。

左手の小指の半掛けの使い方

 小指、薬指を中心に握れといわれる。腕には小指側の下筋と親指側の上筋がある。先に触れた掌の作用をより有効にするための工夫がある。普通は竹刀の柄の端に小指がある。それを小指の半掛けにするのである。竹刀の柄の端を持たずに、小指を半分柄から出して握る。

 なぜか。例えば面を打つ時、肩から始動し、上腕、掌へと連動させる。だが打突の瞬間は手首の作用が切り札となり、効果を生む。いわゆるスナップである。小指側を締め、親指側を相手に突き出す感覚である。わかりやすく左手は引手、右手は押し手と言われる。

 有効打突の終着点は残心であることは勿論であるが、打突の決めは小指による竹刀の引き上げである。このような、大きい筋肉から小さい筋肉への効率的な連動作用こそが、合理的、効率的、効果的な竹刀の作用である。

2023年5月 記