2023年5月3日掲載

剣道と44年の付き合い

【8】稽古の三段階

1 見る稽古

私たちは、日常で相手の心、思いを多くは相手の言葉でつかんでいる。さらに言葉に表せない、現れない気持ちを汲み取って想像することもある。剣道でもほかのスポーツでも運動や、からだの外に出る前の心に決める瞬間がある。サッカーでも相手の動き全体から次の動きを予測して自分が対応する訓練している。剣道でも相手を見て動作をする。見るということが大切である。見方にも色々ある。ジーと見る、流し目で見る。なんとなく見る。剣道では、体全体を見る観・かんの目と目や竹刀の先とか部分を見る・観の目ということがある。まずは相手の意図を読むためには見の目を創ることである。見る剣道の習慣を創ることである。

2 打たれる稽古

相手の打とうとする意図は態度に現れる。体が前に出る、竹刀の先が動き始めるなどである。まだ自分に見ている前に備えなければならない気の準備が出来ていないから、打たれる。打たれると面白くない。面白くないから闇雲に竹刀を振る。これが剣道であると思い込んでしまう。相手を見続けて、打たれることを厭わないでいると分かってくることがある。打ってくる瞬間が見える、わかるようになる。まず攻める気を持つことで相手の動きが、見える、読めるようになる。

3 打つ稽古

相手の動作の前にこちらが気の準備しておけばよいと分かる。頭ではなく体で分かる。そこで行きつくところは、気の備えということになる。気で相手よりも早く攻めておけば、相手より動作は早くなる。簡単には出来ないが、心がける。何カ月、何年かかろうともここがカギだと思って修行する。そうすれば必ず打てる可能性が出てくると期して修行する。

気の攻めが効いてくると、仕掛け技と言われる出端面、出端小手も応じ技と言えるかもしれない。まずこちらが気で攻めていて、それに反応して出てくることになるから、こちらからすると応じ技となる。出端技は応じわざと思って備える。気は前、技は後と言われる。見る、打たれて、打つという三段階を丁寧に身に付けていく修行は、遅いようで早い上達の道と言えよう。急がば回れ、とはこのことである。

2023年4月28日 記