2013年7月7日掲載
ネット選挙への疑問(3)
—仮想現実の登場—
子どもにテレビを無制限に見せてはいけない、時間を区切るべきだといった世相が30年ぐらいに前にありました。それは興味本位になって学習時間をとらなくなるから、という意味もありました。さらに子どもの脳に影響があるという医学的な面からの指摘もありました。
それは脳が仮想現実に慣れてしまうことからいわれました。高倉健の映画を見て、しばらくはその気になって振る舞うなどということがまことしやかにいわれていたものです。テレビの怪獣番組の主人公の手振り身振りを真似する子どもが出たりしたものです。
このようなテレビの後にケータイ、パソコンによるインターネット通信が現れました。ますます仮想現実の包囲が強くなりました。
—小此木氏の説—
この問題を精神分析の面から小此木啓吾氏が説いています。
小此木氏はインターネットの利点をこういっています。
- 匿名で別人になれる。
- 「全知全能」の自分になれる。
- 自分の気持ちを自由に伝えられる。
- 特定な人と仲良くなれる。
- いつでも自分から関係を断てる。
この利点は裏返すと欠点になります。
- 覆面をして無責任になれる。
- 人に威張り散らして見下せる。
- 言いたい放題、勝手気分になる。
- 変質的につきまとう。
- 気まぐれに人脈を断つ。
—配慮なき表現—
このように自分本位の、他人を軽視、無視することにつながります。
その当事者を目の前にしていれば、相手に気を配り表現も配慮するものです。
ところがインターネット上では画面に向かって配慮なく表現をぶつけられるのです。
むき出しの感情は人の前では出さないもので、出せないものです。
この枠が取り払われた状態となります。インターネットは自由に束縛されない表現ができる、と評価する人がいますが、この面を忘れてはなりません。
—仮想現実を抑制—
遠くテレビを見る時間を制限しようとした運動は今はありません。そしてその延長線上でインターネットは無抑制に取り入れられています。
便利であればよいという経済合理主義が、いま日本の世論を牛耳っています。
子どもまでもテレビのつけっぱなし、ケータイ電話、インターネットを使い放題です。そしていまインターネット選挙です。
仮想現実の世界で生活を受けとめる政治を選択しようとする矛盾に気がついている人は少ないのでしょう。
人の適性を選ぶことよりも、相手の誹謗、中傷が渦巻くものになりはしないのでしょうか。
小此木氏の5つの利点の裏返しが気になります。
2013年7月5日 記
