2015年4月19日掲載

絆が、愛情が証明された

—「うちの子」と呼ぶ理由—

 犬を飼っている人は「うちの子」といって会話をしています。このように書いている私のところにも、フレンチブルドッグの「ガモ」がいます。

 長女が保護犬だったのを連れてきました。よくあることで連れてきても面倒は親まかせです。いまは海外勤務なので仕方がありませんが。朝の散歩は日課。出会った犬を媒介にして話が弾みます。すると百人が百人、「うちの子」といいます。

 私にしますと三番目の娘ということになります。一日、二度の食事も、彼女に少し分けることになります。大きな目で小首を傾げて見つめられたら、つい甘くなります。いままで自然に行なってきた私の行為がついに科学的に証明されました。

 それは麻布大学と自治医科大学などの研究チームが4月17日に米国の「サイエンス」誌に発表した研究成果です。

 人間の親子などがふれあうと分泌されるホルモンの「オキシトシン」の作用ということです。このホルモンは、犬が飼い主を見つめ、飼い主がそれに応えるとオキシトシンが双方の体内に増えたということです。30組の犬が飼い主を見つめるグループと、そうでないグループを比較した結果、見つめるグループの犬の尿にオキシトシンの量が増えたということです。犬と人間の長い共存生活がもたらした信頼感、安らぎの結果がホルモンを通して証明されたことになります。

 犬を幼児、身障者、独居者など犬を可愛がる人が無意識に受けとめていた愛情、癒しは科学的に証明されました。これからはさらに学校教育、高齢者、独居者、身障者の生活に溶け込んでいくことでしょう。犬を虐待しない、特に殺処分しない社会を積極的に作っていく意味が強くなりました。

 わが家のガモ嬢が愛くるしい理由がわかりました。

2015年4月18日 記