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2012年4月15日掲載

71才のロンドン五輪代表

―日本史上最年長馬術代表―

 たかが馬、馬術というなかれ。馬の側に近づくのも馴れなければ恐いものです。思ったより大きく、鼻息が温かいことなど異生物で、犬猫とはまったく違います。

 その馬を手綱や両足を使って操るのはやはり技術です。法華津寛さん(71才)は一人でドイツに合宿して五輪にそなえていました。4年前の北京五輪にも67才で出場して話題となりました。そして今度は71才。アジア・オセアニアの個人出場権は予選11競技を闘いランキング1位だけが得られます。その厳しさを勝ち残っての五輪出場です。

 7時起床、柔軟体操、馬の世話、騎乗、道具の手入れなどで一日が終わります。

 連日これのくりかえし。馬の名はウィスパー。人馬一体という名の通り、15才の同僚とは家族以上といいます。

―努力、努力の成果―

 馬に対する愛情は、接し方にもあらわれています。

 甘やかしてもいじめてもいけない。理由なく怒れば、いじめになる。厳しく接する時は、理由を明確にして感情ではダメ。これで怒られたということが分からないと、失敗は本人も分かっているので、馬も見せたいと思ってやっている。だからよくできた時はほめてやる。法華津さんの馬の心理を見抜く力が一つの芸術にまで高められているのでしょう。年齢相応に力まずツボを心得たやり方で、五輪出場を獲得できたのです。腕力、体力、若さとは異なる技、心理など、静的な世界で自分の個性を編み出したのです。

 それは観察力などを含めた経験が大きく領域を占めているに違いありません。年齢が高ければ高いなりの生き方、やり方があることを法華津さんは私たちに見せているのです。

 高年者なりの自己主張ができる自分を作っていくためには、個人の努力があってこそ可能だと思います。

 法華津さんを知って自分を振り返って励みにする人も、無関心の人もいると思います。しかし、努力は絶対的価値として、他人の目に影響されずに存在するものです。

 努力の人・法華津さん。私なりに目標として努力していきましょう。

 なお幸田露伴さんの「努力論」が私の訳で公になります。ご期待ください。

4月14日 記

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