3月7日掲載
ここに来て消費税増税
―仏、伊、英の例です―
仏国民議会(下院)は2月29日、日本の消費税にあたる付加価値税を上げました。サルコジ大統領が増税を発表してから1ヵ月のスピード増税です。
この背景と諸国の例を探ります。
―仏の例―
仏国では今年の10月から付加価値税を19.6%から21.2%へと引き上げられます。ギリシャの巨額債務の不安を受けた南欧諸国の増税を受けたものです。仏もねじれ国会で、野党が優勢な上院では予算案が否決。しかし、与党議員を説得し、予算議決権のある下院で可決しました。 増税による増収分は企業の社会保障負担の軽減などを通じた雇用拡大に生かすと約束した結果でもあります。
―伊の例―
昨年11月に発足しました伊国のモンティ内閣は今年の9月に付加価値税の税率を21%から23%に引き上げる予定です。モンティ内閣の全18人の閣僚が学者で政治家が一人も入っていません。来年の総選挙を意識しないで増税を決定。各政党も責任を問われないこともあり、増税に反対しませんでした。
―英の例―
英国では保守党政権が10年6月の発足直後に発表した緊急予算案で、付加価値税の税率を11年1月より17.5%から20%へ上げるとしました。赤字をなくし、英国債の格付けを上げると公約して予告どおり実施しました。
―一方で軽減策も―
欧州で税率20%を超える付加価値税(消費税)が国民に認められるのは、生活必需品の税率を無税や軽減していることも関係しています。 欧州連合は付加価値税の標準税率は最低でも15%にするように求めています。 欧州連合は食料品に対する税率は平均11%に抑えられています。英国、アイルランドはゼロ税率。食料品以外では新聞、書籍、医薬品、燃料・電力などが軽減対象となっています。
3月4日 記 |