わだむねのピリリ一言

2013年2月17日掲載

遺憾、立ち上げ、喫緊

 この3つの言葉を耳にしたり、目にすることが多いと思います。
 遺憾(いかん)といって会社、組織の重役が不祥事に、揃って記者会見の場で頭をさげてから、口にする言葉です。
 遺憾というのは書き言葉ですから、聞いているほうは、残念でした、申し訳ありません、という心の中を理解せずに「イカン」という音だけでなんとなく分かったようになります。詫びるほうも残念です。申し訳ありませんというより、より深い意味があるように思わせる風がありますから「イカン」を政治家も多用して身をかわしています。護身術用語です。

 立ち上げは「建設する」、「設置する」という意味なのですが、これも新聞紙上には毎日のように出てきます。「委員会を立ち上げ」、「部門を立ち上げ」、すべて「立ち上げ」になります。現在に不備があったり、欠陥があるので新しく立ち上げるというわけです。
 それまでの再建、設置、新規に編成するなどということはすべて「立ち上げ」になります。
 言葉が貧困、漢字の意味を理解しなくなって、すべて「立ち上げ」で済ませる横着さがあります。これもマスコミの劣化と言えるでしょう。怠慢用語です。

 喫緊(きっきん)とは分かりにくい言葉です。緊急であるという意味、差し迫っているという意味です。
 しかし、「喫緊の課題」といって急(せ)かされる気分にさせられるほうは迷惑です。たいがいは為政者、指導者の側から見て急がなければならないために用いられます。それまでの対応が時勢に合わなかったツケが「喫緊」となってしまったのです。
 喫緊というまでもなく急いで解決をする必要のある課題といえばよいのです。
 ことさら緊張させて急がせるほどではないのに、言葉で相手に迫る技術を感じさせます。せっつき用語です。

 言葉と政治は密着しています。
 遺憾、立ち上げ、喫緊という、いままで日常生活で使われなかった言葉が出てきた時は、政治的に冷静な判断を国民にさせないような風潮になってきた時と思って間違いありません。
 世の中が、世間がせわしなくなると分かったようで不可解な現象が起こります。
 そのさきがけが不可解な言葉です。

2013年2月17日 記

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