2025年7月16日掲載

有権者の鶴保参議院議員の失言対策

 最近、私がよく読んで参考にしている作家に丸谷才一がいます。丸谷の『思考のレッスン』が、私が考えたり、書いたりする時の参考書です。大野晋との国語論などは俳句作成時にも参考になります。その丸山が晩年に文学賞などの祝賀、お悔やみなどの挨拶をまとめて本にしています。本になっている理由はすべて原稿にして、読み上げていたからです。和田誠のイラストで読みやすくなっています。なぜここで丸山の原稿読み上げを言いだしたかと言いますと、自民党の鶴保庸介参議院議員がお粗末な「運のいいことに能登で地震があった」という趣旨の発言があったからです。

 政治家は原稿を読んだりせずに、見ないで演説しないと頼りないと、思われるのではないかと邪推したりします。そこで読まずにペラペラとしゃべることになります。ペラペラのプラスは話が上手、よく弁がたつという評判となり、本人は心地の良い評価になるのです。しかし、マイナスもあります。それが舌禍です。喋りの禍です。私も丸山の原稿読み上げを、二つの理由で支持します。一つ目は挨拶の文例を溜めて本の出版につなげる、二つ目は政治生命を脅かす失言から身を守れるからです。鶴保参議院議員は、政治家の言論の素晴らしさと恐ろしさの背中合わせを知らずに政治家をしてきたのでしょう。能登をはじめとする被害を受けた住民の命や暮らしを考えるのが政治家であるという基本がわかっていないのです。能登に出向いて謝罪することもせず、議員を辞めることもせず議員を続けるのです。これを許す自民党も同じ感覚の政治集団ということになります。まもなく参議院選挙です。有権者はどのような行動をとるべきか言わずもがなです。

2025年7月11日 記