2014年6月26日掲載

おかしな攻撃性

 犯罪被害者の会から15周年誌の原稿依頼がありました。村岡勲弁護士が会長を務めていたことがあります。自身の奥様を弁護活動と関係して亡くされた経緯もあります。

 その活動を応援して東京都も犯罪被害者の救済に行政が力を入れています。

 その会合で松本サリン事件の河野義行さんと会いました。事件から20年になります。サリン発生の現場近くに住んでいて、写真現像用薬品から疑われ、警察から容疑がかけられ、オウム真理教が犯人とわかるまで世間、マスコミから攻撃を受けたことは、多くの人が御承知でしょう。

 深夜の電話での嫌がらせなどは当然のようにあったようです。町から出ていけ、と言われたこともあったようです。いま河野さんはわけのわからないものが、歴然とした力があることの不安を訴えています。

 世界中どこにでもある衝動的な人間の攻撃性を心配しているのです。

 教育の世界での「いじめ」。政治の世界での手続無視の強行。などなど攻撃性の持っている排他的な純化傾向は、いま行われている世界スポーツの中に垣間見られなければよいがと思うのですが…。

 確かめられない不安、不確実さが、止めることのできない攻撃性となっていないだろうかと身の回りを再点検する時でしょう。

 いまこそ携帯電話などに急き立てられ、自分を見失い、自分の頭で考えることを阻害されている自分に気づかなければなりません。

 それには自分を電波情報から隔離することです。例えば図書館、散歩などに携帯電話を持たずに行くことです。

 活字、想像で自分で考え、思想することの楽しさに浸ることです。得体のしれない空気のような社会、世間、国会から自由になって自分なりの考えを求めることです。

 河野さんを理不尽に痛めつけたのは、つかみどころのない周囲の空気だったのです。

 おかしな攻撃性はおかしな空気の親友であって私たちのすぐ隣りにいます。

2014年6月21日 記