2013年10月6日掲載

傷痍軍人会が解散

—戦争の傷跡を大切に—

 昭和30年代の初めごろまで駅頭や繁華街に、白衣を着て立ち、アコーディオンやハーモニカを鳴らしている人をよく見ました。

 脇に献金箱が置いてありました。法律ができるまではこうして生きるしか方法がなかったのです。

 戦争中の戦闘や公務で負傷や障害を負った軍人や軍属の関係者に向けて公的扶助も行われてきました。日露戦争からです。

 法律的には昭和28年から戦傷病者特別援護法で医療費などが支給されています。戦傷病者手帳昭和50年代を頂点(約16万人)に平成23年度には約2万人に減ってきました。

 その団体である日本傷痍軍人会が10月3日に、天皇、皇后両陛下をお招きした明治神宮会館で解散式を行いました。平均年齢は92歳で、会は68年前の終戦の記念的存在です。

 不戦、戦争拒否の大きな柱でした。

 戦死しても戦争で傷ついてもだれも喜びません。戦争にならない知恵や教育が大切な理由です。急いでいて一方的に奔流する世論(せろん)を警戒しなければなりません。

 迎合より抵抗も尊重される世の中にしたいものです。

2013年10月5日 記