2025年10月20日掲載
政治権力者の原初の行動を見ているようなトランプの行動
私たちはいま貴重な体験をしているといえる。公の力を使えると認められた人間でも、自分の思うままに国、世界を動かせると思っている人間はいない。なぜなら幼児期から自分の思うとおりにすべてが通るというわがままさは、親、他人、社会から抑制されているからだ。自制心が身についたから、といってもよい。大人ということの一つの特徴ともいえる。しかし時としてこの自制心が育てられないまま大人になった人間もいる。ひらたくいえば、わがままな人間ということだ。だがこれが金、権力を持つと手ごわくなる。トランプである。
どのような家庭教育、公教育を受けたかは知らないが第三者の評価を気にせず、ノーベル賞をねだったり、自分が戦争を止めたと断言したり、まるで謙虚とは縁遠い言動である。これが世界を席巻しているアメリカ大統領である。
この現状をアメリカの偉大な政治家たちはどう見る
国を創ったワシントン、リンカーンなど、歴代大統領でこんなに自己顕示欲の強い人間はいなかった。ワシントンの自伝では自ら13の項目を自分に課して禁欲的な自己改革をしている。時代が変わったとはいってもこの西部劇の再現のようなトランプの権力むき出しの行動は支持できない。権力者の驕りがあっても、すべてに配慮が欠けているからだ。たとえばキリスト教の信者であればだれもが持つであろう節操、誠意という気質は少しも彼からは見受けられない。政治権力者は何でも出来るといったジャングルの、無法の世界の人間ということだ。ジャングルとは弱肉強食の世界。自分の都合のよいように決まりすなわち法などを解釈する無法者の支配する世界である。これを許しているアメリカという国の有り様を、後世の歴史家がどう評価するか大いに興味のある所である。アメリカという国は不可解な国と言わざるを得ない。
2025年10月15日 記
