2019年2月4日掲載

便利と誘惑は共存する

―インターネット社会の闇―

 便利と一体な恐怖と不安は原発事故で痛感してきた。一部企業は海外に原発を輸出しない、と言い始めた。徹底するまでにまだ時間はかかる。

 インターネットは便利だ。便利であるがゆえに犠牲者がでた。昨年11月から東京薬科大学の女子学生が行方不明となっていたが、1月末に茨木県の神栖市で畑の中から遺体で発見された。きっかけはインターネットの掲示板で知り合った35歳の男性との金銭問題だという。会ったその日に殺されて埋められた。

―考えられない結びつき―

 普通なら考えられない地域の離れた二人が、環境も違う二人がインターネットで知り合って殺し殺される。恐ろしいことにそれが誰でもどこでもありうる事件だということだ。

 いま「らしさ」は古いといわれる。「学生らしさ」などは堅苦しい印象を持つらしい。堅苦しくてよいのではないか。「教師らしさ」「職人らしさ」「警察官らしさ」でよいではないか。たとえば警察官が「らしく」なくなった時は恐ろしい社会になる。

―「らしさ」のよしを自分たちのものとする―

 インターネット社会は安易に「らしさ」を隠し否定する。そこに殻を破った自由を見る人もいるだろう。しかし、その一見自由にみなしている正体は不確実な得体のしれない幻なのである。気軽さ、手軽さが自由とはき違えられている。そこに闇、不確実が顔をのぞかせる。なぜなら正体不明、本人確認をせず底意を知られぬことにかこつけて、悪だくみが侵入してくるからである。

 人生は善人ばかりではない。バラ色の信頼できる自由で満ちてはいない。必ず自由を悪用する人間がでてくるからだ。それが犯罪につながる。要するに「らしさ」は「自分らしさ」にもつながり、個人を大切にすることにもなる。信頼の補強にもなる。

 便利と誘惑は表裏であり、警戒したり確認することを怠ることの結末を知っておかなければならない。

2019年2月3日 記