2019年1月23日掲載

社会に目覚め、早熟である青少年が求められる!

―これからの青少年のありようはー

 橋本左内という人、安政の大獄で斬首にあっている。福井藩の医師であり思想家でもある。幕末の時代に活躍した青年の中では武力を用いない静かな存在である。福井藩主松平春獄に信頼され、十五代将軍問題で一橋慶喜の擁立を謀って井伊直弼に弾圧され伝馬町の本屋敷で斬首された。

 彼は15歳の時に『啓発録』を著わしている。そこに5つの題目を掲げ自らも規定している。

  1. 稚心を去る。大人としての心掛けを持ち、甘えを許さない。
  2. 気を振るう。自らやる気をもって励む。
  3. 志を立てる。目標をはっきりと持つ。
  4. 学問をする。人、書から学び成長すること。
  5. 交友の友をえらぶ。友人を大切にし、自分の損友をもたず益友をもつこと。

これらを自省の心構えとして、憲法としてこだわり続けた一生であった。時代は、類は友を呼ぶように作られている。佐内よりも少し遅れて山岡鉄舟は13歳で「修身二十則」を自らに課している。

  1. 嘘を言うべからず。
  2. 君のご恩は忘るべからず。
    (中略)
  3. ことさらに着物を飾り、あるいはうわべをつくろう者は、心に濁りあると心得るべし。

等等20項目ある。当時はかぞえの年齢であるとしても今の中学生である。人生への取り組む姿勢が大人びて地に足が着いている。

―公と自分を考え、目線の高い生き方を―

 今でも同年齢に近い将棋指し、囲碁打ち、卓球やゴルフの少年、などが出てきている。しかし自分の外の世界すなわち日本国、国際社会のために自分の覚悟を固め、参加し、改革しようとする青少年はいるだろうか。あくまで個人の趣味やスポーツの域を出ていない。

 大人をみれば、いかに若くみられるか、言い換えれば幼く見られるかに腐心しているのが現代である。必要なことは自らの知識や経験から年相応の存在を自覚しつつ生きていくことに自信をもって生き続けることではないか。社会との関わりの中で自分を磨き社会へ還元していくのか、ということに早熟である青少年を育てる必要がある。

2019年1月23日 記