2018年11月10日掲載

梅毒の拡散とSNSの利用の恐るべき相関

—情報社会の益と負—

 8月28日の「ピリリ一言」にも書いた教育と性欲すなわち性教育について指摘する。

 前にも梅毒の隠れた拡大について触れた。

 それは性欲を満たす商売が姿を変えて街中にある。とくに繁華街。新宿、池袋などが身近では目立つ。そこで感染する。

 梅毒はかつて公認の接客業女性に多いといわれてきた。しかし吉原などが法規制されて存在しない。しかし実質には広く存在している。

—SNSの普及が梅毒を広げる—

 今年平成30年の上半期で全国の梅毒感染者は3200人。昨年同期の2600人を越す。

 これにSNSの出会い系アプリが関係しているという医師がいる福島市の山本佳奈氏だ。福島県の人口あたりの梅毒患者は2014年に全国40位以下だったが、16年には3位になった。福島県のフェイスブック利用率は48%で全国1位。インスタグラムは39%で全国3位。山本医師たちは出会い系サイトの都道府県別利用率と梅毒の新規報告の関係の相関係数を調べた。

 すると福島県の同じく大阪府、東京都、福岡県など出会い系サイトの利用率の高い都府県で梅毒の新規報告数が多い傾向があった。

—情報社会の負の面をどう教育するか—

 ゆっくり歩いている人の多くはスマートフォンを見ながら、ひどい人は自転車に乗りながらという人もいる。便利に情報の受け渡しができることは益の面もある。

 手元の指先で処理できる社会となった。

 しかし指先で犯罪が思いつかれ、悲劇が作られていることも事実だ。会ったこともない人の口車に乗せられる詐欺。犯罪とはいえないが理不尽な中傷、批難。精神を病む人も出る。幸せを生む情報社会ではなかったのか。

 SNSが普及し、出会い系アプリは登録すると登録情報をもとに好みに合う相手を紹介してくる。自分が気に入れば交渉が成立し、情報交換が可能となる。そして行為によって梅毒の拡大となる。安易に情報を得られ、安易にその情報で病気がうつされるということだ。

 個人が自由を楽しめる時代となった。しかし自由を通り越して放埓に梅毒を拡散してよいということではない。梅毒の知識、性教育なども付随していなければ無秩序な社会となる。それには家庭、地域、学校など教育の機能を持つそれぞれが、意識して協力することだ。山本医師の指摘は不気味な未来を語っている。

2018年10月30日 記