2019年1月20日掲載

めまい薬で認知症治療!?

—これの効果は注目—

 私の周囲でもめまいを伴うメニエール病に悩む人は何人かいる。耳の三半規管が関係しているという。

 その治療に使われる「ベタヒスチンメシル酸塩」が記憶と認知症の治療にも役立つ、というのだ。

 北海道大学、東京大学、京都大学の研究である。20代の男女38人が薬を飲んで試したところ、忘れていた記憶を思い出す可能性がある、という。正答率が上がったのだ。8日、米科学誌に発表した。

 1週間前の写真を見せて聞くと、実験の30分前に通常より約10倍を服用すると正答率がわずかに上がり、飲まない時の正答率が約25%と低かった人は、服用すると50%ほどまで上がった。ベタヒスチンメシル酸塩を飲むと脳内で情報伝達に使われるヒスタミンが大量にできる。「脳内に記憶は残っていることが、思い出せなくても残っていることがわかった」と池谷東大教授は語っている。

 病気に対する治療薬は途方もないところから発現することがある。カビからペニシリンが抽出され、人命の危機を救った場合などもあった。今度は薬の効能の多面的なことの証明といえる。

 難病と治療薬の組合せの新しい治験に期待したい。

2019年1月10日 記