2018年9月11日掲載

自己と絵画の同時“解放”
展覧会逍遥

キュレイター 和田宗春

 三越日本橋本店で9月5日から10日まで開催の西嶋豊彦展は、気持の静まる場である。9月9日に訪ねた。解放—日本画への挑戦—西嶋豊彦展とある。

 日本画を中心に半立体作品、和紙作品、和紙とロボットの作品など奇抜さがある。

 西嶋氏が自らを発達障害—読み書き障害—と告白して、それまでの追求してきた日本画における各分野を集合させた展覧会となった。素材に漉いた和紙を用いて何層にも重ね、遠近を創作したり、丸、円を配することによる浮遊、和平。つきつめると宗教哲学にもつながる。菩薩、曼荼羅が西嶋氏の技術、能力で表出している。日本的な着想と彼が開発してきた技能で魅了していた。まだ52才で精力的に活動している。国際的にも注目される個展を開き、発達障害への理解と自らの協力を申し出る姿勢は日本画壇にあって社会性を訴える心地よい。

2018年9月6日 記