2017年3月15日掲載

現代語訳『本阿弥行状記』の初稿あがる

—学芸員としての仕事—

 3月初めに美術、文化に関心のある人が一度は耳目に接したことのある古典です。主に本阿弥光甫がまとめたもので、上、中、下巻とあり、中、下巻は付録という記述が本文にあります。今日の学者はそのまま受けとめて上巻の光悦とその母・妙秀の言動がしばしば取り上げられます。私は光甫らが謙って付録といっていると考えると同時に、当時の社会事情、本阿弥家の一貫する家風などの理解として大切な中、下巻と位置づけて現代訳を試みました。400字づめ原稿用紙で350枚を越すものです。手書きの原稿用紙を読みとった編集者に感謝しています。

 困難な漢詩の解読を少し残しましたが、山は越えました。あれもこれもの人生です。

2017年3月13日 記