2018年8月31日掲載(2018年9月3日追記)

地方議員になり手がいない!!

—報酬値上げ兼業緩和が救いになるか—

 8月25日に共同通信が全国の地方議会の議長に行なったアンケートによると、52%の議長が議員のなり手不足を感じているという。

 調査に応じた916の町村議会で59%が不安を持っている。

 その解決策に議員報酬の引き上げ、兼業制限の緩和・撤廃が挙げられている。

 地方議員の立候補の場合、住所、年齢などの制約があるが、供託金を払えば可能である。

 しかし、なり手がいない傾向はどこから来るのか。

 それには3つの理由がある。

1.公職についての魅力がなくなった。

 町のため、国のために政治に関わりたい、という若者も壮年者もいなくなっている。自分の生い立ち、家庭環境をきっかけに社会改革を目指すという人はかつて多かった。

2.個人の露出が家庭を崩壊に。

 かつてマイホーム主義といって社会の最小単位としての家庭があった。しかし、いまはその家族もなくなり、家庭内の個人すなわち妻、夫、子ども、祖父母が孤立する状態になった。世の中の豊かさと比例している。家庭と生活は切り離せない関係にあった。

3.政治家の行動規範を堅苦しいと思う人が多くなった。

 頻繁に問題となる政務調査費の個人流用。まさに公私混同して公の金を私に使った結果の事件である。議員は公職、公職すなわち法令順守の生活がつきまとう。その規範を守ろうとしない人が世の中を乱すことになる。

—その解決策は—

 そんな堅苦しい仕事より手軽に金銭が手に入る仕事はいくらでもある。そして、いま終身雇用制は時代遅れといわれている。

 なり手がいなくなるわけだ。しかし町の方向を決める議会、議員は必要だ。となると給料すなわち報酬を引き上げる、さらに入札に絡む企業の役員との兼業を認めるという就業促進を考えた。それが共同通信のアンケートの結果である。

 しかし、議員は企業とは違う。給料を上げれば、それを魅力として選挙に出るか、といえば疑問だ。まずその自治体で議員がなぜ必要なのか、必要でないのかという根本の議論を尽くすことである。

 さかのぼれば家庭、学校、職場などで政治教育を行なうことである。議員によって生活する生活給としての報酬なのか。ボランティアとしての臨時給なのか。昼間、仕事をして、その夜間の会議、土日の会議、一年間を通じての議会で集中して時間を取らなくて良いようにするなどの知恵は出せないわけではない。

 ボランティア精神すなわち奉仕の気持ちがあり、特権意識を持たない人であれば議員は務まる。良識を持ち、町、自治体を心配し、住民を愛せる人はすべて議員の有資格者である。他人事ではない。あなたのことである。

2018年8月29日 記