2018年3月27日掲載

世の中の不安定さのもたらすもの

—枠を取り外すと—

 俳句を楽しんでいると、五、七、五の制約された語数が窮屈で、思うことが伝えにくいことがあります。

 でも、その制約—枠—を承知で俳句から離れません。

 むかし昭和天皇の侍従をした入江さんは「蒙古相撲と日本の相撲の違いは土俵という世界があるかないかだ」と指摘していました。「画額があるから絵は存在するのだ」ともいっています。

—放任の現代—

 女性警察官が暴力団に金銭を提供したり、かつて出版社を軍団という後輩を引き連れて襲ったビートたけしが人気芸能人として存在していたりします。この人たちは枠をはみ出したり、はみ出したことのある人です。いわゆる世間は自分たちも枠にとらわれることを嫌うので、容認しているのでしょう。警察官などは正義感と規律を守らなければ気のすまない性格の人がなるべき職業です。

—まず人間が問われる社会—

 警察官にしても芸能人にしても職業ですが、それにふさわしい性格、気質があります。それは人間としての正義感、平等意識、それを包み込む愛情がなければなりません。

 極端な2例を見ましたが、警察官でも法律、条例を1ミリも動かさない人がよいか、暴力団とつきあって闇の情報を取る人がよいかといえば前者、芸能人でも笑いの天才で暴力を使う人よりも、暴力的な性格でない芸能人を選ぶことが常識でしょう。

 極端に放任、極端に制約という世の中ではなく、安定した気風を取り戻していくために、静かに見たり考えたりする自分を意識していくことが大切です。「人のふり見て我がふり直せ」は時代を超えた名言です。

2018年3月22日 記